はじめに
こんにちは
INAPのknmです。
2025年4月のGoogle Cloud Next ’25で発表されたGoogle Workspace Flows アルファ版が利用できるようになったため、実際の使い方を含めた内容を紹介します。
Google Workspace Flowsとは?
Google Workspace Flowsはワークフロー作成ツールとなり、Gmailを受信したらGoogleChatに通知する、Gmailの添付ファイルをGoogleドライブに保存するなど、日々業務の中で行っている細かい作業から、手間のかかる作業をGoogle Workspaceアプリ間で自動化することができるツールです。

作成するワークフロー
今回作成するワークフローは社内業務の請求書にかかわる内容です。
社内で様々なサービスを利用しているため、サービスが増える度に業務量が増えてしまう作業です。
紹介する内容はあくまでも紹介のためとなるため実際の情報などは伏せたものとなり、細かいカスタマイズについても参考程度にとどめています。
また、現時点では日本語での提供はされていないため、ブラウザの翻訳機能を用いて日本語の表示にした内容で説明を行います。
実際に作成したワークフローは以下の画像の通りになります。
より実際の業務で行っている内容に近しいものを作成したかったため、Gmailで請求書(PDF)を受け取ったとき、添付されているPDFをGoogleドライブに保存し、GeminiにPDFファイルの情報を読み取らせ、スプレッドシートに記録するようにしています。
このような作業は日々人間が目視で確認し、コピー&ペーストを行っているかと思います。

人間が作業を行うにはメール受信に気づかないといけない、添付ファイルを保存しないといけない、PDFファイルの中身を確認しないといけないなど、作業ミスや漏れ、コピー&ペーストを間違えるなど不確定要素があり、手間がかかります。
それでは上記ワークフロー作成をStep1から説明していきます。
Step1:メールを受け取ったとき

上記画像がワークフロー作成を始めた際の画面になります。
スターターを選択をクリックして作成するワークフローが動作するきっかけを設定します。
「メールを受け取ったとき」を選択します。

「メールを受け取ったとき」を選択することで設定画面が表示されます。
まずは「すべてのメール」か「特定のメール」を選択します。
今回は請求書を添付されたメールを指定したいため、「から」の入力欄へ送信者メールアドレスを入力します。
送信者メールアドレス以外にも、受信者メールアドレス、件名、Gmailのラベルなど細かく設定することができるため、作成したい動作を分けてワークフローの作成が可能です。
Step2:メール添付ファイルのリストをフィルタリングする
次にStep2を作成するため、アクションの「ステップを選択」をクリックします。
ステップを追加画面から「フィルター」をクリックします。

「フィルターを適用する」でStep1の内容を選択します。
続いて、添付ファイルを指定します。
ファイル名とファイルタイプを選択でき、ファイルタイプでPDFを選択したとき、正しくワークフローが動作しなかったため、ファイル名に「pdf」を「contains」(含む)場合としています。

Step3:ドライブにメールの添付ファイルを追加する
続いてStep3を作成するため、アクションの「ステップを選択」をクリックします。
ステップを追加画面から「ドライブにメールの添付ファイルを追加する」をクリックします。

保存するGoogleドライブ内のフォルダを指定します。
今回は事前にマイドライブ/ドキュメント/PDF/Flowsというフォルダを作成し、「Flows」フォルダを指定しています。

Step4:Geminiに聞く
これまでの流れと同じようにStep4を作成するために、アクションの「ステップを選択」をクリックします。
ステップを追加画面から「ジェミニに聞く」をクリックします。

ここではPDFの内容をGeminiに読み取ってもらうようにプロンプト(指示文)を入力します。
今回は画像内記載通り、PDF内記載の顧客番号と税抜合計金額を取得したいため、以下の内容を入力しています。
「以下のPDFから、「顧客番号」と「税抜合計金額」を抽出してください。出力は
、必ず下記のようにしてください。
顧客番号:123456
税抜合計金額:¥12,345
各値は変更区切りで出力し、他の情報は不要です。」
上記プロンプトを入力後、プロンプト冒頭の「以下のPDF」に該当する変数を指定しています。
「Step3:Links to the files」の部分です。
これはプロンプト入力画面右下の「+変数」をクリックすることでこれまでのStepの中から指定できます。
ジェミニが利用できる情報源として「ウェブ、ワークスペース、接続されたアプリ」を選択しています。

Step5:行を追加する
本ワークフローの最後のStepとなります。
最後にStep5を作成するために、アクションの「ステップを選択」をクリックします。

あらかじめ、PDFファイル内記載情報をスプレッドシートに記録するため、スプレッドシートで「Flows-請求書情報」を作成しています。
また「Flows-請求書情報」のA1セルに「No.」B1セルに「請求書情報」という項目を作成しておきます。
以下の内容はPDF記載の情報をGeminiが読み取り、どこに入力するかという指定をするためのものとなります。

まず、準備しておいたスプレッドシートを指定します。
ここでは「Flows-請求書情報」
続いてシートを指定します。「シート1」
データをどこに追加するか以下の中から選択します。
・最初の行の後
・最後のデータ行の後
今回は「最後のデータ行の後」を選択しています。
最後に、列ごとにデータを追加するの項目を設定します。
事前にA、B列に項目を作成したいたため、その内容が表示されています。
No.(翻訳のため「いいえ」になっています。)と請求書情報にそれぞれに対応したデータを入力します。
No.は項番として使用したいため「=IFERROR(OFFSET(INDIRECT(ADDRESS(ROW(),COLUMN())),-1,0)+1,1)」を入力しています。
項番関数ではよく「=row-1」とか使用すると思いますが、間に行を追加した際に再度関数を設定しないといけないことがあり、もっと良いものがないかとたどり着いたものが上記の項番関数になります。
個人的に推している関数です。
次に請求書情報ではPDF記載の内容を入力してほしいため、「Step4:Content created by Gemini」を選択します。
Step4でのプロンプトで顧客番号と税抜合計金額を判定するように指示しているため、「顧客番号:161156
税抜合計金額:¥83,691」の形式でB列に入力されます。

試運転
Step5まで作成し今回作成したワークフローの全体が完成しました。
今の状態ではワークフロー自体が動作するきっかけが「メールを受け取ったとき」になっているため、正しく動作するか確認することができません。
そのため、試運転を行い、Step5のスプレッドシートに正しく記録されるかの確認を行います。
画面内の「試運転」をクリックし、「メールを受け取ったとき」で設定した内容に合うメールアドレスを入力します。

画面内の「始める」をクリックします。
Step1~5までを順番に実行していきます。
「実行が完了しました」と表示されたらスプレッドシートを確認してみましょう。

Geminiにプロンプトで指定した通り、PDF内の情報を取得できました。
顧客番号:123456
税抜合計金額:¥12,345


ワークフロー作成で「Gmailで請求書(PDF)を受け取ったとき、添付されているPDFをGoogleドライブに保存し、GeminiにPDFファイルの情報を読み取らせ、スプレッドシートに記録する」という作業が自動化できました。
現時点ではこのワークフローがオン(起動状態)ではないため、画面内の「オンにする」をクリックしておきます。
オンの状態で該当のメールを受け取ったとき、ワークフローが動作し、スプレッドシートに記録されるようになります。

最後に
ワークフローを作成にあたり現時点でアルファ版であること、利用できるGoogle Workspaceプランが限られる、Google Workspaceの管理設定を有効にするなどいくつか条件があり、サービスが使用できるようになって数日のため、参考記事などの情報が少ない状態ではありましたが、試行錯誤を繰り返し作成することができました。
Google Workspace Flowsを実際の画面(ブラウザ日本語翻訳)と実際の業務に近しい内容でご紹介しました。
日々の細かい業務を自動化することで、本来行うべき業務への時間に充てることができるようになるかと思います。
また、こんなことできないかな、こんなことやってみたいと視野が広げることの一助となれば、幸いです。
Google Workspaceではプランにもよりますが、便利なサービスが日々アップデートとリリースされ業務効率化、時間短縮などが行えるグループウェアになります。
ご興味いただき、さらに詳しい内容をお聞きしたという方は弊社へお問い合わせください。
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